EUTHANASIE

 

暗い街。

いつもと同じ風景。

誰もいない道端に、一人、立っている。

冷たい風が頬を撫でてゆくのに、肩を竦めて。

問いかけの声音は音を失い、彼は思わず拳を握り締めた。

 

ココハ、ドコ?

 

いつもと同じ街。

けれど誰もいない街。

自分ひとりが取り残された、ここは幻の街。

 

ココハドコ?

 

走り出そうとした足は、見えない何かに縛られて、動けない。

このままひとりでいなければならないのか。

失いたくないものが、あるのに。

 

誰カ・・・助ケテ。

ココカラ、タスケテ・・・。

 

*

 

外気の冷たさに目を覚まし、ぬくもりを求めて手を伸ばす。

その手が掴まれたのに驚き顔を上げると、見下ろす赤い瞳と視線がぶつかった。

サイドボードの上には、半分以上空になったブランデーの瓶。

伏せた瞼の影が、心なしか濃いように思えて。

「俺も・・・。俺も、八神に生まれればよかった」

見下ろす瞳は、穏やかすぎて何の感情も読み取れないけれど。

どうしたら、この思いを伝えられるのだろう。

どうすれば愛しい人に届くのだろう。

涙で歪む視界に映る、顔。

失いたくないと、開いた唇が、知らず震えた。

「そしたら、お前と一緒に死ねたのにな・・・」

 

*

 

神様、ドウカ。

愛シイ人ヲ連レテイカナイデクダサイ・・・。

 

 

 

 

 

99年に同人誌用に書いた小説を一部リメイク

・・・これでも(こんなだから?)801です・・・一応(笑)

一番長く同人活動をやっていた2人だけに、この話を書くのは悩んだんですが

ちなみに同人誌ではこの後ワンシーンほど続きます